訪問リハは稼げるって聞くけど、実際どうなの?
訪問リハへの転職で注意することはあるの?
そもそも、訪問リハと訪問看護ステーションの違いは?
結論
訪問看護ステーションで働く理学療法士の年収は、およそ300万~500万円!
訪問リハビリと訪問看護ステーションの違い
年収について詳しく見ていく前に、訪問リハビリと訪問看護ステーションの違いを確認しておきましょう。
訪問リハビリは2種類ある!
- 訪問看護ステーションからのリハビリと訪問リハビリは、いくつかの違いがあります。訪問看護ステーションからのリハビリは、主に医療的な観点から行われる場合があり、看護師や医師の指示に基づいて行われることが一般的です。これは、患者の健康状態を監視し、医療的なニーズに対応するための活動を含むことがあります。
一方、訪問リハビリは、理学療法士や作業療法士などの専門家によって提供されるリハビリテーションサービスです。これは、患者の機能や動作の向上を目指し、具体的な運動や活動療法を通じて行われます。訪問リハビリは、日常生活の中での機能向上や独立度の向上を支援することを目的としています。
要するに、訪問看護ステーションからのリハビリは医療的な側面に焦点を当て、訪問リハビリは機能的な側面に焦点を当てていると言えるでしょう。
訪問リハビリ | 訪問看護からのリハ | |
運営母体 | 病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院のみ | 株式会社や営利法人などでも可 |
人員基準 | 医師1名以上(専任の常勤) | 看護師3名以上(常勤) |
他職種との関係 | 医師と密に関わる | 看護師と密に関わる |
対象とする患者 | 比較的状態の安定した利用者が多い | 医療依存度の高い利用者もいる |
介入時間 | 介護保険:週120分 (退院後3ヶ月以内は週240分まで) | 介護保険:週120分または週3回まで 医療保険:1回30分~90分、週3回まで |
給料 | (比較的)低い | (比較的)高い |
色々ややこしいので、リハビリ目線で簡単に説明すると
- 訪問リハビリ
-
自分の所属する病院等の医師から指示を貰って行う在宅リハビリ
- 訪問看護ステーションからのリハビリ
-
ほかの施設の医師から指示を貰い、訪問看護の一環としてリハビリを提供する
一般的に、訪問看護ステーションの方が給料は高い傾向にあります。
訪問看護ステーションは、病院と比較し施設の維持費が安く済むのでその分を人件費に回せるのでしょう。
一方、病院の維持費は莫大で人件費に回せるお金は少なくなってしまいます。(大きな施設であれば電気代だけで年間数千万円とかかるらしいですよ)
どっちが将来性がある?
では、訪問リハビリと訪問看護ステーションでは、どちらの方が将来性があるのでしょうか?
ここでは「将来性がある」ということを「倒産・廃業しない」と定義します。
訪問リハビリの運営母体は主に病院・クリニック・介護施設などです。
調査会社の帝国データバンクによる、「医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)」と「医療機関の倒産動向調査(2021年)」という資料をもとに病院・クリニックの倒産・廃業率を調べてみました。
まずは病院の倒産・廃業率です。
厚生労働省が公表している、「医療施設動態調査」(2021年10月)によると、日本国内に病院は8,199施設あります。そのうち、2021年の廃業・倒産件数が13件なので、廃業・倒産率は、約0.16%となります。
次にクリニックの倒産・廃業率です。
日本国内にクリニックは10万4,538施設あります。そのうち、2021年の廃業・倒産件数が493件なので、廃業・倒産率は、約0.47%となります。
それに対して訪問看護ステーションの廃業率はどうでしょうか?
日本国内の訪問看護ステーション数は13,003ヶ所で、このうち廃業した訪問看護ステーション数は490ヶ所でした。この結果から、2021年度の廃業率は約3.8%となります。
ちなみに、中小企業庁によれば、日本国内に中小企業は約358万社あります。また、2021年に休廃業した企業数は約4万4,000社、倒産した数は6,000社程度でした。あわせて約5万件とすると、廃業・倒産率は約1.4%になります。一般企業と比較すると、病院・クリニックの倒産・廃業率は低いといえます。逆に訪問看護ステーションの廃業率(3.8%)は非常に高いことも分かります。なんと病院の約24倍の倒産・廃業率です。
※出典:厚生労働省「医療施設動態調査」(2021年10月)
訪問看護ステーションで働く理学療法士の年収
2021年時点での情報に基づいて言えば、訪問看護ステーションで働く理学療法士の平均年収は、およそ300万円から500万円程度とされています。ただし、これは一般的な平均値であり、具体的な給与は所属するステーションや地域の事情、個人の経験やスキルなどによって変動する可能性があります。
参考として、私がPTOTSTワーカーを利用した時に実際に紹介された「訪問看護ステーションの給与」を紹介します。
【〇〇訪問看護ステーション】
所在地:愛知県某所(名古屋市外の比較的田舎です)
基本給 | 20万~ |
調整手当 | 5万 |
歩合手当(インセンティブ) | 1件40分3200円、1件60分4000円 (※) |
賞与 | 年2回(半年分のインセンティブの金額の半分を賞与として受け取る) |
退職金制度 | なし |
その他 | 交通費2万まで支給 |
昇給 | 年1回 |
※月の訪問件数が80件以上から付与
※月のインセンティブの半分は賞与へ回される。つまり、その月に受け取れるのはインセンティブの半分の金額。
この情報から月収と年収を計算してみましょう。※訪問件数100件/月・昇給年2000円・経験5年目という設定で計算
月収=26万(基本給+調整手当)+4万(インセンティブの半額)=30万
年収=360万(30万×12か月)+48万(賞与)=408万 ※(賞与)4万×6か月×2=48万
月収30万の手取りはおよそ24万。年収408万の手取りは323万円程度。
これを高いと感じるか低いと感じるかは人によりますが、少なくとも私が以前勤めていた病院よりは良いです。
もちろん、毎年の昇給額や経験年数、月の訪問件数によっては、年収450万超えも可能です。
訪問看護ステーションを選ぶときのポイント
「訪問看護ステーション」を選ぶ時のポイント〇つ。
訪問看護ステーションを選ぶときのポイント
- 訪問看護ステーションが密集しておらず、かつ人口5万人以上の市区町村にある事業所を選ぶべし
- 看護師に対してセラピストの数が多いところには要注意(看護師:セラピスト=6:4以上が理想)
- 設立5年以上経過している事業所を選ぶべし
- 退職金制度について必ず確認すべし
・訪問看護ステーションが密集しておらず、かつ人口5万人以上の市区町村にある事業所を選ぶべし
下の図を見てわかるように、今後人口5万人以下の市町村における65歳以上人口は徐々に減っていくことが予想されています。つまり、人口5万人以下の市町村における訪問看護ステーションのニーズは徐々に減っていくということです。今はうまく経営できていたとしても、20年後・30年後を考えるとだんだんと経営が難しくなる可能性がある為、長くそこに勤めようと考えているなら、人口5万人以上の市町村にある事業所を選んだ方が無難といえます。
また、訪問看護ステーションが密集している地区では利用者の取り合いとなり、事業所の収入が安定しない可能性もあるためなるべく避けましょう
・看護師:セラピストの割合
看護師に対してセラピストの数が多い訪問看護ステーションには要注意。
↓これは令和2年に行われた社会保障審議会(※)で話し合われた内容です。
※社会保障審議会:日本の政府機関の一つであり、社会保障制度の適切な運営と発展を図ることを目的に社会保障政策の立案や改善に関する専門的な助言を行う組織。
(リハビリテーション専門職による訪問)
Microsoft PowerPoint – 02_訪問看護 (mhlw.go.jp)より引用(一部抜粋)
○ 理学療法士等の訪問が多い事業所は、看取りの実績が少ない、軽度者の割合が高いという結果もあるため、サービスの提供実態を踏まえて、看護職とそれ以外の職員の比率を人員基準の中に追加する等の対応を検討する必要があるのではないか。
○ 医療ニーズを有する高齢者の更なる増加が見込まれる中で、理学療法士等による訪問割合が増加する傾向が続くと、訪問看護の役割を十分に果たせるか懸念があるため、詳細な分析を進め、必要に応じて、看護職員の割合や看護職員による訪問割合に応じ、メリハリある報酬体系にするといった対応も考えてはどうか。
○ リハビリ専門職による訪問看護に特化した訪問看護ステーションの増加は問題であり、看護職員の割合の設定を求めるべきではないか。
○ 訪問看護事業所のリハビリ専門職が行うサービスは、看護の視点で提供するサービスという位置づけであり、実態が訪問リハビリテーションと同じようなサービスであれば、訪問リハビリテーションとして提供されるべきではないか。
つまり、
「訪問看護ステーションなのに理学療法士が多すぎるのはおかしい」
「このままでは、本来目的にしていた訪問看護を適切に提供できないのでは?」ということです。
さらにこの状況に対して、「看護師とそれ以外(セラピスト)の比率を人員基準に盛り込むべき」という案も出てきています。
転職先として選ぶなら、看護師:セラピスト=6:4以上で看護師の多い職場を選びましょう。
・設立からの経過年数
訪問看護ステーションの設立から廃業までの期間に関する具体的な情報はネット上には見当たりませんが、平均的には5年以内での廃業が多いとのことです。(Chat GPTに聞きました笑)
最低でも設立から5年以上は経過している事業所を選びましょう。
・退職金制度の有無
規模の小さな事業所では、退職金制度の無いところも多くあります。
退職金のみではなく、生涯年収で考えるのがベターですが退職金はあるに越したことはないですね。
面接を受ける前に、退職金制度があるかどうかを忘れずに確認しましょう。
また、退職金の計算方法は、会社が採用している制度によって異なります。代表的な制度とその計算方法を以下に示します。退職金制度の有無だけでなく、どの制度を採用しているのかも合わせて確認しましょう。
- 定額制:勤続年数だけで退職金の額を決定する方法です。例えば、1年あたり10万円の退職金を支給するというように、あらかじめ決められた金額が支給されます。
- 最終給与連動方式:最終月の給与に基づいて退職金の額を決定する方法です。例えば、最終月の給与×勤続年数×支給率(給付率)というように計算します。支給率(給付率)とは、勤続年数や退職理由に応じて変わる係数で、会社によって異なります。
- 全期間平均給与方式:勤続期間中の平均月収に基づいて退職金の額を決定する方法です。例えば、平均月収×勤続年数×支給率(給付率)というように計算します。
- 別テーブル方式:勤続年数と最終月の給与に応じて、あらかじめ作成されたテーブルから退職金の額を決定する方法です。例えば、勤続年数が10年で最終月の給与が30万円だった場合、テーブルから対応する金額を見つけます。
- ポイント制方式:勤続年数や業績などに応じてポイントを付与し、そのポイントに基づいて退職金の額を決定する方法です。例えば、1ポイントあたり1000円の退職金を支給するというように、あらかじめ決められた単価が支給されます。
※どの制度を採用しているかで退職金の金額が数百万円単位で変わるので、めっちゃ重要です。
・インセンティブ制度(歩合制)の有無
これも重要なので必ずチェック!
ただ、インセンティブ制度にはメリット・デメリットがあるので一概に、あった方がいいとか固定給の方が良いとかは言えません。
メリット | デメリット |
---|---|
年収500万超えも狙える | 頑張った分だけ給料として評価される毎月の給料が安定しない 一日のスケジュールが過密になる (有給で)月の出勤日数が減ると給料も下がる →休みを気軽に取りにくい |
上の表を見て分かるように、インセンティブ制度にはメリット・デメリットがそれぞれあります。
頑張って訪問件数を増やせばその分給料は増えますが、安定性・持続性という面から考えるとデメリットも出てきます。
デメリットに納得できるのであれば、インセンティブ制度を活用してガッツリ稼ぐのは選択肢としてはかなりアリだと思います。
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